帯状疱疹ワクチンによる副反応の症状とは?対処法と気を付けることも解説
帯状疱疹は高齢になるとともに発症しやすくなるため、ワクチンの接種を検討することも大切です。
しかし、副反応が心配で接種に踏み切れないという方もいるのではないでしょうか?
実際に帯状疱疹ワクチンで副反応が起こることはありますが、症状は軽いケースが多く、重篤なケースはまれです。
この記事では、どのような副反応がどれくらいの割合で起こるのか、厚生労働省の統計を交えながら解説します。
副反応が起きた際の対処法と、接種後に気を付けることも紹介するので、ご自身の接種時の参考にしてください。
帯状疱疹ワクチンの副反応とは
帯状疱疹ワクチンを接種した際に起こる副反応は、軽度なものから重度なものまでさまざまです。
副反応が起こる原因は、ワクチンの成分が体内に入ることで、強い免疫を作って身体を守ろうする働きがあるからだと考えられています。
ワクチンの種類によっても、起こりやすい副反応は異なります。
帯状疱疹ワクチンの種類は、以下の2つです。
- 生ワクチン(弱毒生水痘ワクチン)
- 不活性ワクチン(組換えワクチン)
それぞれのワクチンでどのような副反応が起こるのか、次項から解説していきます。
帯状疱疹の生ワクチンで起こる副反応の症状
帯状疱疹の生ワクチンは弱毒生水痘ワクチンとも呼ばれ、水痘・帯状疱疹のウイルスの病原性を弱らせて作ったものです。
厚生労働省の情報では、一度の接種で5年程度の効果が持続し、4〜6割程度の予防効果があると報告されています。
生ワクチンによる副反応の症状と発生率は、以下のとおりです。
生ワクチンによる副反応の症状 | 発生率 |
---|---|
接種部位の赤み | 30%以上 |
接種部位のかゆみ・腫れ・痛み・しこり・熱感 | 10%以上 |
発疹・倦怠感 | 1%以上 |
アナフィラキシーショック・血小板減少性紫斑病・無菌性髄膜炎 | 頻度は不明だが確率はかなり低い |
接種部位に起こるかゆみや痛みなどの症状が主なものとなり、まれに全身の倦怠感や身体に発疹が起こるケースもあります。
また、頻度は不明ですが、アナフィラキシーショックなどの重篤な症状を引き起こす可能性もゼロではありません。
ワクチンによるアナフィラキシーショックの発生頻度は非常に低く、数百万回に1回ともいわれています。
副反応で重篤な症状が出るのは、帯状疱疹ワクチンに限ったことではなく、どの予防接種でも起こり得ることです。
ご自身の体調や疾患によっては危険性が高まることもあるため、不安な場合は接種前に医師と相談をしましょう。
帯状疱疹の不活性ワクチン(組換えワクチン)で起こる副反応の症状
不活性ワクチンは、水痘・帯状疱疹ウイルスの一部を人工的に作り、免疫を高める成分を加えて作られています。
ウイルスそのものを使わずに作ったワクチンです。
2回の接種が必要となり、厚生労働省の情報では、7〜9割程度の予防効果が10年程度持続するとされています。
不活性ワクチンによる副反応の症状と発生率は、以下のとおりです。
不活性ワクチンによる副反応の症状 | 発生率 |
---|---|
接種部位の痛み | 70%以上 |
疲労・筋肉痛・接種部位の赤み | 30%以上 |
頭痛・悪寒・発熱・胃腸症状・接種部位の腫れ | 10%以上 |
倦怠感・そのほかの痛み・接種部位のかゆみ | 1%以上 |
ショック・アナフィラキシーショック | 頻度は不明だが確率はかなり低い |
生ワクチンに比べると副反応の発生率が高く、倦怠感や筋肉痛といった接種部位以外の症状も多く見られます。
多くの症状は軽度で済むケースがほとんどですが、頭痛や発熱などは人により重く辛いこともあります。
帯状疱疹ワクチンの副反応は数日で改善
帯状疱疹のワクチン接種後に副反応が起こるのは珍しいケースではなく、3~7日程度で改善することがほとんどです。
多くの場合は軽度な症状で済むため、そのまま様子を見てもかまいせん。
しかし、軽度でも7日を過ぎても治らなかったり、悪化したりすることがあれば注意が必要です。
また、高熱や強いアレルギー症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
副反応の症状に不安があれば、医療機関に問い合わせか受診をすることをおすすめします。
帯状疱疹ワクチン接種後に副反応が出たときの対処法
帯状疱疹ワクチンを接種して副反応が現れた際には、以下の対処法があります。
- 頭痛や発熱には解熱・鎮痛剤を服用して水分を取る
- 無理をせず安静にする
- 十分な睡眠と休息を取る
- 接種部位の痛みや腫れは冷却するか抗炎症剤の湿布薬を貼る
- 胃腸症状が出たら無理して食べずに胃を休ませる
- 呼吸困難・じんましん・動悸などが出たら救急要請(119)をする
副反応の症状によって、対処法は異なります。
心配な場合は自己判断で処置をせず、医療機関に問い合わせましょう。
発熱や頭痛、疲労感などの辛い症状や全身症状が出た際には、無理をせず安静にすることが大切です。
あらかじめ、医療機関で解熱・鎮痛剤を処方してもらうと安心です。
食事が十分に取れない場合でも、こまめな水分補給を行いましょう。
接種部位の痛み・かゆみ・腫れなどが辛ければ、冷やしたタオルや保冷材で冷却すると和らぐことがあります。
呼吸困難のような症状が出たら、アナフィラキシーショックの可能性があるため、すぐに救急要請が必要です。
帯状疱疹ワクチンの接種後に気を付けること
帯状疱疹ワクチンを接種した後は、副反応の発現に備えた行動を取ることが大切です。
接種後は以下の点に注意しましょう。
- 激しい運動は控えて安静にする
- 長時間の入浴は避ける
- 接種部位はこすらず清潔に保つ
- 飲酒は控える
入浴は問題ありませんが、長時間の入浴は身体に負担がかかるため、避けた方が無難です。
また、接種部位から菌が入り込まないよう、かゆみが出てもこすらずに清潔に保つよう心がけます。
接種当日は特にご自身の体調を気遣い、変化を見逃さないようにしましょう。
帯状疱疹ワクチン接種のご相談は中村AJペインクリニックへ
帯状疱疹ワクチンの接種で副反応が起こる可能性はゼロにはできませんが、ほとんどの場合が軽い症状のみで、数日で改善しています。
しかし、ごくまれに高熱や重篤な症状が出るケースもあります。
副反応のリスクが心配で帯状疱疹ワクチンの接種を迷っている方は、まずは医師に相談してみるとよいでしょう。
中村AJペインクリニックでは、帯状疱疹ワクチンの相談や、帯状疱疹が発症してしまったときの治療を行っています。
不安がある方は、お気軽に中村AJペインクリニックへご相談ください。
記事監修医師プロフィール

中村AJペインクリニック院長
中村 純
アメリカニューヨーク州コロンビア大学 医学部大学院 卒業
米国外科専門医(災害外科・形成再建外科
日本ペインクリニック学会 専門医
日本整形外科学会 専門医
厚生労働省医政局 麻酔科標榜医