帯状疱疹は顔にもできる!合併症のリスクや症状と治療法も解説
痛みや発疹が顔に出てしまい「帯状疱疹って顔にもできるの?」「顔のどこにできるの?」と心配な方もいらっしゃるでしょう。
帯状疱疹は上半身に症状が出ることの多い疾患ですが、顔にも症状は出ます。
顔に発疹ができると、目や耳などに合併症を引き起こすこともあり、まれに重篤な後遺症へとつながるケースも見られます。
合併症や後遺症を極力避けるためには、正しい知識を身に付けて治療を始めることが大切です。
この記事では、帯状疱疹が顔のどこにできるのか、できてしまったときの注意点や治療法などを解説します。
帯状疱疹は顔のどこにできる?現れる部位と症状
帯状疱疹の症状は上半身に出ると思われがちですが、症状は顔にも現れます。
顔のなかで症状が出やすい部位は、左右どちらかの前頭部やまぶた、鼻の周辺です。
初期症状でチクチク・ピリピリとした刺すような痛みを感じ、その後に赤い発疹が現れます。
症状は人により異なりますが、頭痛や発熱、リンパ節の腫れをともなうケースもあります。
帯状疱疹を発症すると神経がダメージを受けるため、見た目以上に痛みが強いのが特徴です。
帯状疱疹が顔にできると危険
顔に帯状疱疹の症状が現れると、目や耳の合併症や顔面麻痺、味覚障害などを起こす危険性があります。
ここからは、どのような合併症が起こるのかを詳しく解説していきます。
結膜炎・角膜炎・視力低下など目の合併症を引き起こす
顔に発疹が現れた際に注意してほしいのが、目の合併症です。
鼻やまぶたに発疹が出ていると、眼球にもウイルスが広がる可能性があります。
顔に帯状疱疹ができた場合、引き起こされる可能性のある目の合併症は、以下のとおりです。
- 結膜炎
- 角膜炎
- 胸膜炎
- 虹彩毛様体炎
- 外眼筋麻痺
- 偽樹枝状角膜炎
合併症により、眼球の充血や目の痛み、まぶたの腫れなどが起こり、視力低下の症状が見られるケースもあります。
目の合併症は、皮膚の発疹よりも遅れて発症することが珍しくありません。
はっきりとした目の症状が出ていなくても、異物感や眩しさなど何かしらの違和感を感じたら、すぐに病院へ相談しましょう。
難聴・めまい・耳鳴りなどの耳の合併症を引き起こす
耳の周辺に帯状疱疹の症状が出ると、ラムゼイ・ハント症候群という重篤な合併症を引き起こす可能性があります。
耳の神経にウイルスが広がると発症し、耳の痛みを感じるとともに、難聴・耳鳴り・回転性のめまいなどの症状が現れます。
症状が進行すると、バランス感覚を失ってまっすぐ歩けなくなったり、音の聞き取りにくさが悪化したりするため、放置せずに治療を受けることが大切です。
顔面神経麻痺・味覚異常などを引き起こす
顔の帯状疱疹は、目や耳の合併症のほかにも、顔面麻痺や味覚障害を引き起こすことがあります。
帯状疱疹の影響で起こる顔面麻痺は、顔の片方がこわばって動かしにくくなるのが特徴です。
片方の目が閉じにくくなったり、口がうまく動かずに会話や食事に支障が出たりします。
また、味覚に異常が起こることもあり、食事を十分に取れなくなる方も少なくありません。
治療を行えば治る症状ですが、悪化すると後遺症として、麻痺の違和感などが残る可能性も考えられます。
顔の帯状疱疹で合併症を引き起こさないための注意点
顔に帯状疱疹ができると合併症を引き起こしやすくなりますが、自身の行動次第で合併症を防げたり、早期回復を望めたりします。
合併症を防ぐには、いくつかの注意を守ることが大切です。
ここからは、合併症予防のための注意点を解説します。
目をこすらない
目の合併症が起こる原因の一つは、目の角膜にウイルスが付くことです。
特に注意してほしいのが、赤い発疹が水ぶくれへと変わったときです。
水ぶくれの中にはウイルスが含まれているため、破れた水ぶくれを触ると手にウイルスが付着します。
手にウイルスが付いたことに気付かないまま目をこすると、目にウイルスが入り、合併症を引き起こします。
コンタクトレンズの装着でも、目にウイルスが付く可能性があるため、完全に帯状疱疹が治るまでは使用を控えましょう。
目をこすったりコンタクトレンズを装着したりする行為は、目の合併症を引き起こすリスクを高めるので危険です。
すぐに治療を始める
帯状疱疹は、発疹が出てから72時間以内に投薬を開始するのが望ましいとされています。
早ければ早いほど早期回復につながり、症状の悪化を抑えられます。
初期症状は、赤い発疹が出る前に、神経痛のような痛みを感じるのが一般的です。
痛みが出て数日後に発疹が現れたら、帯状疱疹を疑ってすぐに受診しましょう。
特に顔に帯状疱疹が出たときは、合併症を起こさないように、ウイルスが広がる前に治療を始めるのが重要です。
帯状疱疹かどうか確信がもてないからといって、病院を受診せずに、自己判断で様子を見るのは危険です。
治療が遅れれば症状が悪化し、視力低下や神経痛などの症状が、後遺症として残るリスクもあります。
帯状疱疹が疑われる症状があれば、すぐに受診をしましょう。
顔にできた帯状疱疹の治療法
顔に帯状疱疹を発症したときは、主に以下の方法で治療を行います。
- 抗ウイルス剤の服用
- 点眼薬をさす
- 塗り薬の塗布
- 鎮痛剤の服用
- 神経ブロック注射の処置
帯状疱疹は発症部位に関係なく、ウイルスの活性化を抑えるために、抗ウイルス剤の服用が必要です。
目の合併症が疑われる場合には、ステロイド薬の点眼を使って炎症を鎮めます。
発疹や水ぶくれなどの皮膚の症状では、二次感染を防ぐため、抗生物質入りの塗り薬が処方されることがあります。
また、痛みが強い場合には鎮痛剤の服用や、神経ブロック注射での鎮痛処置が有効です。
神経ブロック注射は、ペインクリニックで処置が受けられますが、一部の整形外科でも可能な場合があります。
帯状疱疹の治療は主に整形外科で行い、顔に発症した場合は、眼科や耳鼻科の受診も必要となる可能性があります。
顔の帯状疱疹で不安な方は中村AJペインクリニックへ
帯状疱疹の悪化を防ぎ早期回復を望むなら、痛みや発疹の初期症状が出た段階で、すぐに受診をすることが重要です。
初期に治療を始めることで、顔の帯状疱疹により合併症が悪化するリスクを軽減できます。
強い痛みが辛い場合は、痛みの緩和処置も必要です。
中村AJペインクリニックは整形外科とペインクリニックを併設しており、帯状疱疹の回復
治療と、痛みを緩和させる神経ブロック注射の処置が可能です。
回復治療と痛みの緩和処置を同時に受けたい方は、中村AJペインクリニックにご相談ください。
記事監修医師プロフィール

中村AJペインクリニック院長
中村 純
アメリカニューヨーク州コロンビア大学 医学部大学院 卒業
米国外科専門医(災害外科・形成再建外科
日本ペインクリニック学会 専門医
日本整形外科学会 専門医
厚生労働省医政局 麻酔科標榜医